読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『Asylum Piece』セルフライナーノーツ後編 -約束、帰ってくること。物語の数だけキミを愛すこと。-

 拙作『Asylum Piece』のセルフライナー後編になります。今回は1曲1曲、そして全体として僕が描きたかったことを述べます。結構な文量なので本当にお暇でしたら。

 またセルフライナー前編をSCA-自氏が目を通して頂いたようで、僕の感謝に意が氏に届きとても感激です。

 さて本題、最初に結論から。僕がこのEPでやりたかったことを述べます。

・歌詞について

 僕は、物語を愛してきた、多くの物語に触れてきた、媒体は問わずに。頭も悪いし、才能の欠片も無い僕だけど、これだけは自信を持って言える。数でものを語るのはかっこ悪いけれど、小説なら1000冊は軽く超えているだろうし、アニメも500本、ノベルゲーム、映画、漫画も最低200タイトルは触れてるはずだ。だから1番唄いたかったことはM6の「ラピスラズリ」の"壊れた世界で唄い続け/物語の数だけキミを愛す事"のフレーズが全て。極論を言えば。ただ第2、3のテーマとして付随してきたのが僕が最も美しいと思う、文学作品やノベルゲームからの影響、破滅/死/バッドエンドの瞬間に浮かびあがる美しさ「破滅の美学」、セカイ系/終末モノ諸作からの影響、終わった/または終わりかけの世界における世界との関わり方、「君と僕との逃避行」、そして麻枝准が初期から描いてきた「約束」。だからこのEPは上記4つのワードをいかに別の言葉で表現するか、こねくり回しただけ。だから

 M4「翼とナイフと銃弾」、"夕暮れ染まる世界で僕ら飛べると嘯いた/この世界にさよならを告げよう/君と僕は溶け合いエンドロールへ身を投げた/それが嬉しくて"

 M5「2nd Love,4th Love」、"この世界には無い最終回でも/ハッピーエンドの夢/願って生きるのかい?" 

 M6「ラピスラズリ」、"ブルーがグレーに変わり/孤独な夜が来たなら/優しいリズムと一緒に僕ら逃げ出そう"

 M7「向日葵のジュリア」、"ジュリア、僕は君との「約束」を果たせたよね?/これからは素晴らしき日々が僕らを待っているから…"

の5フレーズで全て言いたかったことは完結している。ただ作詞の手法として初期ART-SCHOOLBURGER NUDSが用いたカットアップを使用して、万華鏡の様に様々な美しい情景を、また悪夢の様に様々な地獄絵図が浮かびあがる詞を書きたかった。これはまだまだ足りない、描ききれなかったと思っている。

 次に「天使」という単語について。フランスの写実主義の画家、ギュスターヴ・クールベは「私は天使を描かない、何故なら見たことがないから」と言ったけれど僕は確かに天使を見たことがある。それは物語中の少女達であったり、現実の女の子だったりする訳だけど。(僕の高校時代ずっと好きだった女の子は確かに僕にとって天使だったし、若かった僕は過剰に彼女を神格化してしまい、お付き合いしても上手くいかなかったのだけれど)だから僕は、このEPで"君"を「天使」と名づけ多用した。天使はいるんだよって。

 最後に「約束」という単語について。そもそも本作を作るきっかけは前編で『サクラノ詩』による所が大きいと触れたが、実はもう一押しがあった。それは『サクラノ詩』を勧めてくれた友人との『サクラノ詩』についての対話だ。そして僕は彼に「自分も作品を作る、あの少年少女達の様に。」と「約束」をした。だから意図的に「約束」という単語を多用したし、ジャケットも麻枝准が脚本を担当した『シャーロット』のビジュアルから引用した。

 

 アニメ『Charlotte』のビジュアルイラストより

f:id:blueseagull:20161219145613j:plain

 

ノベルゲーム『書淫、或いは失われた物語。』より

f:id:blueseagull:20161219145700j:plain

 

・サウンド、アレンジについて

 ただのART-SCHOOLだと言われればそうなんだけど、なぜオルタナの音を選んだというと、上記の描きたかった世界と親和性が高かった、ただそれだけ。今後描きたい世界が変わればサウンドもアレンジもがらりと変えるつもりだし、既に2nd EPは変え始めている。あとは個人的に僕が以前所属していたART-SCHOOLのパロディバンド、Tenkiameという呪いから解放されるため/忌々しき怪物を埋葬するため。フロントマン、管梓氏曰く、「Tenkiameとかいうクソバンドの5倍は良かった」らしいです。やったね。

 

・引用について

 僕は日頃、本を読んで好きなフレーズや、日頃ふと思い浮かんだフレーズをスマホのメモ帳に書いておき、作詞する時にそこから引用しノートに書き出し、さらにその場で僕の言葉にして歌詞を組み立てていくので、どこまでが自分の言葉か引用なのか分からない部分が大きい。僕はそれでいいと思っているけれど。一応覚えている範囲で元ネタは書いてく。とりあえずスペシャルサンクス欄に上げた作家/シナリオライターの作品を各5作位読めば、僕みたいな詞は簡単に書ける。

 

参考

-Novelists,Poets-
阿木慎太郎,秋山瑞人,阿部和重,安部公房,荒木スミシ,江波光則,大江健三郎,大崎善生
神林長平,唐辺葉介,久坂葉子,柴村仁,島田雅彦,関口尚,高橋源一郎,太宰治,飛浩隆
谷川俊太郎,谷崎潤一郎,津原泰水,中沢けい,中島らも,橋本紡,福永武彦,中原中也
本多孝好,舞城王太郎,宮内悠介,村上春樹,村上龍,山尾悠子,山本弘,夢野久作

ジョン・アーヴィング,ボリス・ヴィアン,カート・ヴォネガット,スティーヴ・エリクソン,ポール・オースター,アンナ・カヴァン,イスマイル・カダレ,ダニエル・キイス,マイクル・コニイ,フリオ・コルタサル,ヘンリー・ジェイムス,テオドール・シュトルム,アルトゥル・シュニッツラー,フィリップ・K・ディック,ウラジーミル・ナボコフ,ジェームズ・グレアム・バラード,ウィリアム・S・バロウズ,ジャック・フィニイ,F・スコット・フィッツジェラルド,レイ・ブラッドベリ,リチャード・ブローティガン,ヘルマン・ヘッセ,ジョージ・マクドナルド,ロバート・F・ヤング,アルチュール・ランボー,ジャック・ルーボー,スタニスワフ・レム,ジークフリート・レンツ,ダン・ローズ

-Scenarists-
SCA-自,瀬戸口廉也,深沢豊,麻枝准,元長柾木

 

前置きが長くなってしまった。各曲のライナーを。

1.氷の涯

f:id:blueseagull:20161219152312j:plain

イラストの元ネタ

f:id:blueseagull:20161219152342j:plain

f:id:blueseagull:20161219152346j:plain

・歌詞について

 タイトルは夢野久作『氷の涯』、およびアンナ・カヴァン『氷』からの引用。どちらもラストシーンで男女が"終わり"に向けアクセルを踏む話。この曲もそうで、幸福な風景にいつまでも馴染めない君と僕が一緒に氷の涯に身を投げる曲。個人的には1番カットアップの手法が上手くハマった曲だと思っている。1曲目にはこの曲しかないと思った。徐々に盛り上げるアレンジとしても。

 "閉ざされた部屋で鍵穴を通し見る世界は/眩し過ぎて僕の心を窒息させてしまった"というフレーズは持病が悪化して入院した時に、病室からTwitterを通し見た世界への僕の心情。"この世の果てで恋を唄う少女"は今は亡きelfの同名タイトルのSFアドベンチャーゲームから。"何も無い僕も色彩を持てた気がしていた"村上春樹色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』より。"地獄の季節"は同名のランボー散文詩"彼岸花と夕日が行き過ぎてしまうよ"中原中也『盲目の秋 Ⅰ』より。覚えている範囲内の引用はこの位。あとはオタクが好きそうなパワーワードを入れまっくたある意味ずるい曲。ちなみに僕はプロジェクト名もそうで「花」を頻出させるけど、ちゃんと花言葉も考えて書いてる。この曲のアネモネなら「恋の苦しみ」、「見捨てられた」ユリは「純粋、無垢」ヒガンバナは「諦め、苦しみ」。この曲の君と僕は純粋無垢過ぎたため世界から見放された、そのためこの世界に諦めをつけ、さよならをする。

 

・サウンド、アレンジについて

 この曲はAメロのコード進行、ベースライン、ドラムパターンはまんまスピッツの「夜を駆ける」。笑っちゃうくらい。

 

 ただアレンジをもっとノイジーしたかったから、ギターを1番重ねた楽曲。(E-bowを使い擬似フィードバックを6トラック分作り、ノベンバの「Sturm und Drang」のイントロからサンプリングしたノイズがサビ前で鳴ってる)またタイトルの氷が示す通りドライな質感を出すためシンセの音作りはかなりこだわりった。

 サビ2後のブレイクはアートの「Skirt」、「Miss World」を意識したのと、左右で交互にコードをかき鳴らしたり、ダブルチョ-キングするのはBloc Partyが良く使う手法。

  アウトロのピアノとマラカスだけになる部分はアートの「ガラスの墓標」を意識した。またイントロのサンプリングはThe Conet Projectという集団が出したのどこかの国や組織が、遠く離れた異国に潜伏する工作員に向かって送っている乱数放送のエアチェック音源集から引用。元ネタ『氷の涯』は戦争文学の一面もあるのでぴったりだと思い付け足した。

 コーラスは17歳とベルリンの壁の高野さんに依頼した。僕は17歳とベルリンの壁が凄く好きだし、彼女のキュートだけど、どこか冷たさも併せ持つ声が好きだったから。その冷たさがこの曲にマッチすると思ったから。今回のEPで多くの方の女性コーラスを招いたのは、君と僕の「君」がいなくては説得力に欠けると感じたから。様々な「君」を歌い上げて下さった皆さんには感謝しかない。

 

2.マリブの海に花束を

f:id:blueseagull:20161219171444j:plain

イラストの元ネタ

f:id:blueseagull:20161219171510j:plain

f:id:blueseagull:20161219171528j:plain

・歌詞について

 タイトルは阿木慎太郎の同名小説から。(正直内容はイマイチ。タイトルは完璧)この曲は、青年が恋人の女性が海に沈んでいくのを、引き止めようとするが、その姿が美し過ぎてただ見つめることしか出来ず、せめてものはなむけに花束を贈る曲。

 全体の影響としては、フリオ・コルタサル『遊戯の終わり』、テオドール・シュトルム『みずうみ』、スタニスワフ・レムソラリス』、ロバート・F・ヤング 『たんぽぽ娘』、中沢けい『海を感じる時』、C’s ware 『蜜柑』、minoriANGEL TYPE』から。Aメロ1は『みずうみ』、『たんぽぽ娘』の描写から。Aメロ2は完璧に麻枝准の諸作からとっていて、"流木/渚/交わした「約束」果たそう"は『CLANNAD』の汐の名前をつけるシーンから。"坂道/登り"は『CLANNAD』の冒頭、及び『智代アフター ~It's a Wonderful Life~』から。"永遠の世界へ向かう"は『ONE ~輝く季節へ~』、"僕は黒い羽を広げ時を超える"は『AIR』から。

 

 ・サウンド、アレンジについて

 この曲はTenkiameの没曲を僕がアレンジし直した曲。この曲をTenkiameのメンバーを再び集めて作り直したのは僕にとって凄く意義のあることだった。

 ギターの刻み、及びドラムパターンはアートの「ローラーコースター」から。

  リードギターのリフはThe Boo Radleys「Lazarus」をこねくり回した。イントロのリフ及びドラムはChapterhouse「Pearl」、For Tracy Hyde「あたたかくて甘い海」、コードの使い方はスピッツの「スパイダー」。

  またこの曲は僕1人じゃ絶対に完成に至らなかった。緒方さんのシンセアレンジ、まゆみさんの何重にも重ねたコーラスの力が大きい。僕も5トラック分コーラスを重ねて最終的に50トラックを超えた1番多重録音した曲。イントロのサンプリングは映画『ベニスに死す』から。

 

・麗しのオルタンス

f:id:blueseagull:20161219173534j:plain

イラストの元ネタ

f:id:blueseagull:20161219173625j:plain

f:id:blueseagull:20161219173632j:plain

・歌詞について

 タイトルはジャック・ルーボーの同名小説から。この曲はオルタンスの様に華奢な少女が大人の女性に移り変わっていく中で僕は変わらずに少年のままで、その2人の差が別れを招いてしまう夏の終わりの失恋ソング。珍しく誰も死なない曲笑

 "ガラスの眼を持った鷗"バンプの「ガラスのブルース」"ガラスの眼をした猫は唄うよ"から。"君が夏のパラソルを背にして遠のいていく姿に焦がれた"ジャック・フィニイ 『愛の手紙』より引用。"偽りの朝の幻影"アドルフォ・ビオイ=カサーレス『パウリーナの思い出に』の一節から、"チャイナタウンからの手紙"リチャード・ブローティガン 『チャイナタウンからの葉書』。"この寂びついた世界に愛を込め唄い続けよう"OVERDRIVE 『キラ☆キラ』の名言、「この、くそったれな世界に、精一杯の愛をこめて。」より。またこの一節は歌が下手だけど唄を唄い続けること/誰からも見向きされずとも音楽を作り続けることの決意表明でもある。

 

 ・サウンド、アレンジについて

 この曲はDTMerとして尊敬してる友人、伊38さんのソロプロジェクト、Never Knows Bestの「Sunset Summer」のリフ、コード進行、ドラムパターンを大胆に引用した。原曲を何回も聞いて何回も泣いて救われた。

  リフの音は所持していた鉄琴を売却前に全部の音をサンプリングしておいたので、その音源とエレピの音を混ぜて作った。ループするギターはアートの「あと10秒で」、「SWAN SONG」のループを編集して入れた。またSound Schedule 「ピーターパン・シンドローム」、くるり 「ばらの花」辺りも念頭に入れて作曲した。

 この曲も参加者に救われた曲で17歳とベルリンの壁の鶴田さんはめちゃくちゃ凝ったアレンジをして頂いた。(ミックスで奥に押しやっちゃったけど10トラック近く電子音が入ってるんですよ実は)ギターソロもベースも凄く歌にそった演奏をして頂いて頭が上がらない。そして極めつけのmugcup collection,Kensei Ogata Bandの翠さんのコーラスの力が大きい。僕の描く"オルタンス像"を見事に声で表現して頂いた。詞、メロディ、アレンジ、ミックスのトータルで考えるとこの曲がベストトラックだと思っている。

 

4.翼とナイフと銃弾

f:id:blueseagull:20161219180257j:plain

イラストの元ネタ

f:id:blueseagull:20161219180318j:plain

・歌詞について

 この曲はEPで始めに完成して、かつ始めて自分が満足出来きた曲であると同時に、"飛べなかった"僕が限界の精神状態で病室のベッドで書き上げた個人的に思い入れが強すぎる曲。実体験と僕が望む終わりを書いた曲。CRAFTWORKさよならを教えて〜comment te dire adieu〜』、Leaf『雫』、『天使のいない12月』、S.M.L『CARNIVAL』、ケロQ素晴らしき日々〜不連続存在〜』、ジャニス『わたしのありか。』、公爵『ジサツのための101の方法』、130cm『僕は天使じゃないよ』等の狂気/自殺を題材にしたノベルゲームと石川達三『青春の蹉跌』、神林長平『抱いて熱く』、久坂葉子『幾度目かの最期』、宮内悠介『ヨハネスブルグの天使たち』、夢野久作『瓶詰地獄』等の破滅系文学から影響が濃く出た曲。正直この路線の歌詞はこれ以上の歌詞は書けない。

天使のいない12月より

f:id:blueseagull:20161219181450j:plain

 

・サウンド、アレンジについて

 アレンジは完全にスピッツの「さらさら」。それ以外に言いようがない笑

 あとはサビのメロディはアートの「夜の子供たち」とバーガーの「不感症」をこねくり回して作った。1番完成までに時間がかかった曲で、最初はガリレオの「青い栞」のリフを引用したり、アルペジオがアートの「プールサイド」だったり無駄にシンセやリードギターを重ねてたけど、詞を何より大事にしたかった曲なので凄くシンプルにすることで落ち着いた。ちなみに意図的に曲時間を死(4:00)にしたしトラック番号も死(4)。

 本当にボロボロの時に作った曲で、録音状態が最悪でボーカルのヒスノイズが凄い出てしまって、一度歌い直したけど、何か雰囲気が異なってしまって、それならばとわざと閉塞感を出すためにヒスノイズを全面に出すミックスをした。コーラスをして頂いたMichiganizedの穂先さんにもわざとヒスノイズを発生させて下さい!って頼んだり無茶振りをして…笑

 

5.2nd Love,4th Love

f:id:blueseagull:20161219182936j:plain

 イラストの元ネタ

f:id:blueseagull:20161219192531p:plain

・歌詞について

 この曲はハッピーエンドを夢みて生きた君と僕は"この世界線"では幸せになれなくて、一緒に身投げをして次の"世界線"でも再び巡りあって今度は幸せになろうね、それは2回目も、3回目も、4回目も同じだからって曲です。その次の"世界線"へ到るまでの過程を僕は"2nd Love,4th Love"というフレーズのみで片付けちゃって、これは僕の力量不足で未完成の曲。もう一度同じ題材で曲を作りたい。

 この題材は、深沢豊氏の諸作から影響を受けていて、特にForce『2nd LOVE』、『書淫、或いは失われた夢の物語。』からの影響が強い。後は『Angel Beats!』のラストシーンとかotherwise『sense off』。"君の細い足首/青い瞳/白い肌/その匂いその仕草"はアートの斜陽から、"千の天使"中原中也『宿酔』から、"半分の月がのぼる空に消え"橋本紡半分の月がのぼる空』からの引用。

 

・サウンド、アレンジについて

 アートの「TIMELESSTIME」を下地にギターとドラムパターンはFlipper's Guitar「星の彼方へ」(つまりThe Stone Roses「Elephant Stone」、Ocean Colour Scene「Sway」、「Yesterday Today」)ちなみに"2nd Love 4th Love..."のメロディも"Blue Shinin'Quick Star"と同じ。

サビの"1,2,3"の部分はくるりの「WORLD'S END SUPERNOVA」の"1,2,3でバックビート"の部分をこねくり回して作った。イントロは夜明ケマエの「ブルーサンダー」。

 

 この曲は過去シンセで在籍したBoyishの「1990」も意識したのでBoyishの岩澤さんとMav.さんに参加して頂いた。これも過去の亡霊を埋葬するために僕には確実に必要なことだった。

 

6.ラピスラズリ

f:id:blueseagull:20161219194458j:plain

元ネタのイラスト

f:id:blueseagull:20161219194521j:plain

・歌詞について

 タイトルは山尾悠子の同名小説から。この曲が実質ラストナンバー。最後のフレーズ"物語の数だけキミを愛していた。"を唄う為だけにこれまでの5曲はあったといっても過言じゃない。ちなみにこのフレーズは『書淫、或いは失われた夢の物語。』のキャッチコピー(1番唄いたいことが引用ってどうなんだって気はするけど)この曲でキミとボクはこの世界から逃げ出す。その後の2人の結末は7曲目で書いたつもり。"ボクの「忘れもの」つまり、キミの「落とし物」それは"は深沢豊氏のフリーのノベルゲーム『忘れものと落とし物』より。"プールの底に眠るメロディだったよ"は白河三兎『プールの底に眠る』から。

 

・サウンド、アレンジについて

完全にアートの「SWAN DIVE」。

そのアートの「SWAN DIVE」をパクったphyxmomentの「ruby sparks」(こちらの方が曲展開が巧み)を合体させただけ笑

 この曲も参加者に救われた曲で、nayutanayutaのwataruさんの優しいシンセアレンジとまゆみさんの優しく包み込む様なコーラスワークに救われた。ちなみにイントロの雨の音はTactics『ONE ~輝く季節へ~』からのサンプリング、最後のねじを回す音はCLANNADからサンプリングした。

 また夜に溶けていく閉塞的な雰囲気を出したかったので、ボーカルを意図的に篭らせるために、この曲だけポップガードを用いずにハンドマイクで録った。よく聞くとボーカルの質感がこの曲だけ違う。

 

・リリース形式について

 今回のEPは「True End盤」と「Bad End盤」が存在する。それは始めから考えていた訳じゃなくて、6曲のデモが完成した段階で、ミックスをするのに腰が重くてギターを触ってたら、とても明るい曲と、とても暗い曲が1日で書けた。どっちも収録するのには浮いてしまうし、それならば僕の大好きなノベルゲームになぞって"終わり"が異なる盤を出そう!って思ったのが始まり。最終的に自分ではネットの無料配信でしか出来ない面白い形式だったと思っている。ちなみに2曲は完全に対になっていて、「向日葵のジュリア」はキーがD、「愛とバズーカ」はキーがBmで平行調になっているしタイトルの元ネタはアンナ・カヴァンの『ジュリアとバズーカ』からとった。これも元ネタが分かる人には面白いのではと思ってる。(はているのか)

 

7.向日葵のジュリア

f:id:blueseagull:20161220012323j:plain

イラストの元ネタ

f:id:blueseagull:20161220012346j:plain

・歌詞について

 この曲は「ラピスラズリ」で逃げ出した2人が自分達の居場所(つまり魔法の国/向日葵畑)を見つけ幸せな結末を迎えた様子を描いた曲。"彗星/待ちわびてあの丘で再会した"はアニメCharlotteから。"ジュリア、僕は君との「約束」を果たせたよね?/これからは素晴らしき日々が僕らを待っているから…"の前半部分は僕に約束を与えてくれた友人に捧げた歌詞。後半はケロQ素晴らしき日々〜不連続存在〜』から。

 

・サウンド、アレンジについて

 アートの「Supernova」を下地にドラムパターン、サビのメロディはバンプの「flyby」。

 

  アレンジは1番アートっぽいアレンジでサビ以外はウワモノは全部Dadd9。またピアノの音はバンプも良く使う8分付点ディレイで飛ばした。最後の「向日葵畑で待ってる」の音声はあかべぇそふとつぅ『車輪の国向日葵の少女』からのサンプリング。シンセアレンジはやっと見つけた居場所/幸せも儚く壊れやすいものであると思っているから意図的にチープな音を作った。その幸せの脆さを音で示すために。

 

7.愛とバズーカ

f:id:blueseagull:20161220013627j:plain

イラストの元ネタ

f:id:blueseagull:20161220013724j:plain

・歌詞について

 この曲は「ラピスラズリ」で逃げ出した2人が幸せになれなかった様子を描いた曲。君が狂っていく、僕はその前で無力でしかなかった。『最終兵器彼女』のバッドエンドみたいな状況を書きたかった。"僕の孤独の価値は君の退屈より安い"Nav Katze「レディ・トゥ・ゴー」の一節"退屈を買いに行こう/君の愛と同じ値段"から。"救ってくれた君と一瞬の嘘への溺愛"セカイ系諸作に関しての僕の感想。"君が後部座席から飛ぶのを見つめていた"ジョン・アーヴィングの「ガープの世界」より。本当に陰湿で救いの無い歌詞が書けたと思う。陰湿過ぎてミックス時にめちゃくちゃメンタルがやられた笑

 

・サウンド、アレンジについて

 アートの「Sonnet」のコード進行を引用。シンセはアートの「memento mori」を意識した。この曲は一種の緊張感と生々しさを出したかったのでボーカルのピッチ補正はファルセット部分以外は全くしなかったし、全楽器一発録りで補正等も一切なし。アコギのマイク録りも普通ありえないようなマイキングで録音した。ループするサンプリング音声は前述のThe Conet Projectから。間奏と終わりに挿入される音声は映画『スローターハウス5』からのサンプリング。

 

 以上が全曲解説です。結論は最初に述べたのでこれにて『Asylum Piece』のセルフライナーは終わりです。お付き合い頂きありがとうございました。最後にEPの参加者"15SOULS"の皆さん、素敵なイラストを描いて頂いた片山さん、拙作にライナーを書いて頂いた3名に多大な感謝を。参加者全員は音楽的にも、人間的にも信頼しているから依頼をしましたので、願わくば彼らの活動も気にかけて頂けると幸いです。

 

・今後について

 実は2nd EPの曲は全てもう出来ていて、2ndはカットアップ/引用を封印したら自分はどんな事を書くのだろうと力を抜いて6曲歌詞を書きました。そうすると浮かんできたのは、「喪失と再生」「日常における小さな幸せ」「変わってしまうモノ/変わらないモノ」と自分が影響を受けてきた事柄がそのまま浮かび上がって、だからアレンジも割りとシンプルなギターポップ/シンセポップな作品になりそうです。

f:id:blueseagull:20161220170156p:plain

 1stAlbumは『Asylum Piece -AIR/君を壊してしまう前に- 』と題して今回の6曲に7曲を加えて1つの作品とするつもりです。今回のカットアップ路線で描けなかった/やり残したことを全部ぶちまけるつもりですし、もっと残酷に暴力的に再構築するつもりです。こちらは記念に少量プレス出来たらなあと。こちらも3曲既に出来ていて、また外部のサポートミュージシャンもまた数名お招きする予定ですので、気にかけて頂けると幸いです。歌が絶望的に下手なのでピッチ補正とミックス込みで完成は両作とも春過ぎに完成を目指しています。

f:id:blueseagull:20161220170348p:plain

 

・おまけ

 僕は脳内作曲が出来ないのでギターは最初に全部tab譜に起こすので、全曲tab譜があります。誰も興味が無いかと思いますが、おまけとしてここに貼って置きます。一切難しいことはしていないし、僕がどれだけコードの引き出しが少ないかわかります笑これで君もFragile Flowersになれる!笑めちゃくちゃお暇でしたらどうぞ。Tux Guitarというフリーのソフトで開くことが出来ます。 

 最後までお付き合い頂きありがとうございました。今回のライナーを書くためにリリースぶりにEPを聞き返したんですが、ミックスの粗が凄い気になったり、録り音の悪さが気になり、めちゃくちゃ凹みました笑精進します。また次の"物語"を描くために頑張ろうと思います。